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10月31日の国税速報掲載のQ&Aについて

・10月31日の国税速報掲載のQ&Aについて・

 10月31日にもお知らせいたしました国税速報第6188号(平成23年10月31日)掲載の「最新版 実務における重要税務事例Q&A② 分割後に親族間で株式譲渡が行われた場合の適格性」は、法人税(組織再編税制)の課税関係についての事例について解説したものではありますが、事業承継に対する法人税からのアプローチという視点を踏まえた事例でもあります。
 事業承継と税というと、とかく相続税・贈与税における株式の評価(財産評価)の問題と捉えられがちですが、法人税、特に組織再編税制の適用の問題とも深く関係しております。
 是非御覧ください。

 ちなみに、読者の方からこのQ&Aに関して、「完全支配関係」の規定(法人税法施行令第4条の2第2項)の場合、「一の者」の後ろに「その者が個人である場合には、その者及びこれと前条第一項に規定する特殊の関係のある個人」というかっこ書きがあるが、適格組織再編成における株式の保有関係等の規定(法人税法施行令第4条の3第2項第2号、第6項第2号他)の場合、「同一の者」の後ろにはそのようなかっこ書きがない、したがって、完全支配関係の判定の場合には、グループの頂点が個人株主であれば、一個人とその親族等の特殊関係者を含めて「一の者」とみるが、グループ内組織再編の適格要件の判定の場合には、グループの頂点が個人株主であれば、一個人のみで判断し、その親族等は含めないのではないか、という御質問が寄せられました(下記抜粋条文参照)。
 例えば、兄が株式の50%を、弟が残り50%を保有する法人が新設分割(分割型分割)をする場合には、分割後には兄と弟が分割法人と分割承継法人をそれぞれ50%ずつ保有することとなりますが、兄と弟は適格要件の判定においては「同一の者」とはならないために、100%保有(完全支配)する「同一の者」がいないこととなり、完全支配関係の場合の適格分割にはならないことになる、というものです。




 法人税法施行令第4条の2第2項
 法第二条第十二号の七の六に規定する政令で定める関係は、一の者(その者が個人である場合には、その者及びこれと前条第一項に規定する特殊の関係のある個人)が法人の発行済株式等(略)の全部を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係(以下この項において「直接完全支配関係」という。)とする。(以下略)
 法人税法施行令第4条の3第6項第2号
 分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(略)との間に同一の者による完全支配関係(略)があり、かつ、当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続すること(略)が見込まれている場合(略)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係(以下略)




 「完全支配関係」の規定(法人税法施行令第4条の2第2項)は、個人の場合には親族を含むこととなっていますので、法人とその株主との「完全支配関係」があるかどうかの判定では、個人株主の場合にはその個人の親族等を含めて判定することとされています。
 そして、適格要件の規定では、「分割法人」と「同一の者」との間に「完全支配関係」があり、かつ、「分割承継法人」と「同一の者」との間に「完全支配関係」があることとなっていますので、「分割法人」と「同一の者」との間に「完全支配関係」があるかどうかは、完全支配関係の規定に基づき「同一の者」が個人株主であればその親族を含むこととなりますし、「分割承継法人」と「同一の者」との間の「完全支配関係」の判定も同様です。
 したがって、適格要件の判定においても「同一の者」には親族を含むこととなります。要するに、完全支配関係の規定のところで既に親族を含むことを規定しており、その完全支配関係の定義を用いる適格要件の判定においてわざわざいう必要がないということです。
 ちなみに平成22年度税制改正でこの規定が整備されたのですが、その改正前の適格要件の規定(当時は法人税法施行令第4条の2)では、その当時に完全支配関係の定義規定(現行法人税法施行令第4条の2第2項)がなかったので、適格要件の規定において、「同一の者(当該者が個人であるときは、当該個人及びこれと前条第一項に規定する特殊の関係のある個人)によってそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される関係」(旧法人税法施行令第4条の2第6項第2号)とされ、個人株主の場合は親族を含むことが適格要件の規定において直接に読み取れていたのですが、前記改正により完全支配関係の定義規定がおかれて、この完全支配関係の定義に基づき適格要件を判定することとなり、このかっこ書きは削除され形式的な文言の整備であり、適格要件の判定の内容を変更するものではありません。
 このように現行の条文で疑問に思う点があるときには、過去の条文の規定を追いかけてみることが理解につながることがあります。



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中村慈美税理士事務所

Author:中村慈美税理士事務所
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著書のご紹介
貸倒損失をめぐる税務処理        専門家からのアドバイス30選       中村慈美 共著              
大蔵財務協会              令和元年10月26日発行
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図解組織再編税制 令和元年版           中村慈美 著
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図解グループ法人課税令和元年版 中村慈美 著    
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法人税重要計算ハンドブック       令和元年度版             日本税理士会連合会 編          中村慈美・小松誠志他 共著
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平成31年度税制改正早わかり             中村慈美 共著
大蔵財務協会              平成31年3月28日発行
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五訂版 企業の保険をめぐる税務         中村直美・中村慈美 共著                                           
大蔵財務協会                平成30年10月26日発行
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新株予約権ハンドブック        〔第4版〕                  中村慈美 共編著
商事法務                平成30年3月31日発行
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